奏心のよもやま話~第18回~

奏心のよもやま話~第18回~

皆さんこんにちは!
奏心、更新担当の中西です!

 

“どちらが正しい?”ではなく、“この敷地・この建物・この工期・この予算で最適はどれ?”が正しい問い。布とベタは荷重伝達・不同沈下耐性・施工性・維持性で性格が違います。本稿では、設計→施工→維持のライフサイクルで比較し、意思決定フレームとNG神話の解体を行います。

 

1. 性能比較(荷重・沈下・耐震・環境)
• 荷重伝達:
o 布:線で支持。点荷重・壁量偏在の影響を受けやすい→地中梁で補う。

o ベタ:面で分散。上部変更(間取り変更)に追従性が高い。
• 不同沈下:
o 布:層ムラに弱い。フーチングせい・配筋で補正。

o ベタ:面剛性でムラに強いが、温度収縮ひび割れへ配慮。
• 耐震:
o 布:柱脚・地中梁に力が集中。拘束・定着が要。

o ベタ:底盤がダイアフラム的に働き、力の流れを均一化。
• 環境・断熱:ベタは防湿・断熱連続が取りやすい。布は床下点検性に優れる。

 

2. コストと工期(“見積書の行間”を読む)
• 材料:
o 布:型枠と鉄筋はやや多め、底盤コンクリートは少ない。

o ベタ:底盤コンクリート・配筋増、型枠は少なめ。
• 手間:
o 布:丁寧な型枠構成が必要。

o ベタ:底盤のレベル・面の仕上げ精度が命。
• 天候感度:
o 布:立上り中心の打設は雨でも回しやすい場面がある。

o ベタ:雨天リスクで当日判断が多い。

 

3. 典型条件と推奨の型(フローチャート)
1) 地盤N値が安定(≧3〜5)か? → Yes:布/ベタどちらも可。No:ベタ優位+地中梁 or 改良。
2) 壁量偏在・点荷重が大きいか? → Yes:ベタ厚増・地中梁、または布+強化フーチング。
3) 断熱・防湿連続を重視? → Yes:ベタ(スラブ縁の熱橋カットを設計)。
4) 将来の配管変更・点検重視? → Yes:布(床下空間の活用)。

 

4. 設計の勘所(数値だけではない“効き”)
• ベタ厚:パンチング・隅角割れ対策として局所増し厚+配筋強化。目地でひび割れ誘導。
• 布フーチング:せい・幅・主筋・あばらのバランス。根入れ深さで凍上・浮き上がりに対抗。
• 立上り:アンカー・HDとの座金逃げ、定着とかぶりの両立。

 

5. 施工・管理の違い
• ベタ:
o 底盤の平面・レベル命。レベルピン+等高線墨、ブロック割でコールドジョイント回避。
o 防湿・断熱の連続、貫通部の気密・止水。

• 布:
o フーチング水平とかぶりを厳守。立上り打継ぎ面の目荒し・止水材。
o 床下換気・基礎パッキン・白蟻対策。

 

6. NG神話の解体
• “ベタは万能”:温度収縮ひび割れ・レベル管理難度を侮るな。目地設計×養生で解決。
• “布は弱い”:地中梁×拘束で十分強靭。地盤ムラへの配慮が鍵。
• “コストは布が安い”:土工・仮設・天候リスクを含む総コストで比較を。

 

7. ケース:盛土造成地×短工期
• 地盤ムラ大・短工期。ベタ+地中梁+改良で不同沈下リスクを抑制。ブロック割×共配で打設時間短縮、電子黒板で検査迅速化→工期短縮に寄与。

 

8. チェックリスト ✅
☐ 地盤(N値・地下水・ムラ)
☐ 上部(壁量・点荷重・将来変更)
☐ 断熱・防湿・防蟻・気密の連続
☐ 打設ブロック割・目地・養生計画
☐ 総コスト(天候リスク含む)

 

まとめ:答えは現場に依る。ムラに強い/気密連続/維持しやすいの3軸で、ベタ or 布 or 併用を賢く選びましょう。次回は型枠の極意!

追補:布×ベタの“ライフサイクル”比較と意思決定ワークシート ⚖️
• LCC(初期+維持):初期材料/手間/仮設/天候リスク+床下点検/配管更新/断熱補修を年次で見える化。床下点検性は布優位、気密・防湿連続はベタ優位。

• 熱橋・結露:ベタはスラブ縁、布は基礎立上り—土台が要注意。連続断熱+気密テープで切らさない。

• 地盤ムラ:ベタは面剛性で吸収力、布は地中梁+フーチング強化で対抗。

• 判断フロー:N値ムラ?→Yes:ベタ/No→将来配管更新重視?→Yes:布/No→防湿・断熱連続重視?→Yes:ベタ/No→布。

• ワークシート(列):性能/工期/コスト/維持/天候感度/近隣/将来変更(5段階評価)。合計点で“現場最適”を選ぶ。

ケース:改修前提の平屋
• 将来の配管更新と床下収納が重要→布基礎+地中梁で剛性確保、床下点検性を武器に。

 

 

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