月別アーカイブ: 2025年12月

奏心のよもやま話~第18回~

皆さんこんにちは!
奏心、更新担当の中西です!

 

“どちらが正しい?”ではなく、“この敷地・この建物・この工期・この予算で最適はどれ?”が正しい問い。布とベタは荷重伝達・不同沈下耐性・施工性・維持性で性格が違います。本稿では、設計→施工→維持のライフサイクルで比較し、意思決定フレームとNG神話の解体を行います。

 

1. 性能比較(荷重・沈下・耐震・環境)
• 荷重伝達:
o 布:線で支持。点荷重・壁量偏在の影響を受けやすい→地中梁で補う。

o ベタ:面で分散。上部変更(間取り変更)に追従性が高い。
• 不同沈下:
o 布:層ムラに弱い。フーチングせい・配筋で補正。

o ベタ:面剛性でムラに強いが、温度収縮ひび割れへ配慮。
• 耐震:
o 布:柱脚・地中梁に力が集中。拘束・定着が要。

o ベタ:底盤がダイアフラム的に働き、力の流れを均一化。
• 環境・断熱:ベタは防湿・断熱連続が取りやすい。布は床下点検性に優れる。

 

2. コストと工期(“見積書の行間”を読む)
• 材料:
o 布:型枠と鉄筋はやや多め、底盤コンクリートは少ない。

o ベタ:底盤コンクリート・配筋増、型枠は少なめ。
• 手間:
o 布:丁寧な型枠構成が必要。

o ベタ:底盤のレベル・面の仕上げ精度が命。
• 天候感度:
o 布:立上り中心の打設は雨でも回しやすい場面がある。

o ベタ:雨天リスクで当日判断が多い。

 

3. 典型条件と推奨の型(フローチャート)
1) 地盤N値が安定(≧3〜5)か? → Yes:布/ベタどちらも可。No:ベタ優位+地中梁 or 改良。
2) 壁量偏在・点荷重が大きいか? → Yes:ベタ厚増・地中梁、または布+強化フーチング。
3) 断熱・防湿連続を重視? → Yes:ベタ(スラブ縁の熱橋カットを設計)。
4) 将来の配管変更・点検重視? → Yes:布(床下空間の活用)。

 

4. 設計の勘所(数値だけではない“効き”)
• ベタ厚:パンチング・隅角割れ対策として局所増し厚+配筋強化。目地でひび割れ誘導。
• 布フーチング:せい・幅・主筋・あばらのバランス。根入れ深さで凍上・浮き上がりに対抗。
• 立上り:アンカー・HDとの座金逃げ、定着とかぶりの両立。

 

5. 施工・管理の違い
• ベタ:
o 底盤の平面・レベル命。レベルピン+等高線墨、ブロック割でコールドジョイント回避。
o 防湿・断熱の連続、貫通部の気密・止水。

• 布:
o フーチング水平とかぶりを厳守。立上り打継ぎ面の目荒し・止水材。
o 床下換気・基礎パッキン・白蟻対策。

 

6. NG神話の解体
• “ベタは万能”:温度収縮ひび割れ・レベル管理難度を侮るな。目地設計×養生で解決。
• “布は弱い”:地中梁×拘束で十分強靭。地盤ムラへの配慮が鍵。
• “コストは布が安い”:土工・仮設・天候リスクを含む総コストで比較を。

 

7. ケース:盛土造成地×短工期
• 地盤ムラ大・短工期。ベタ+地中梁+改良で不同沈下リスクを抑制。ブロック割×共配で打設時間短縮、電子黒板で検査迅速化→工期短縮に寄与。

 

8. チェックリスト ✅
☐ 地盤(N値・地下水・ムラ)
☐ 上部(壁量・点荷重・将来変更)
☐ 断熱・防湿・防蟻・気密の連続
☐ 打設ブロック割・目地・養生計画
☐ 総コスト(天候リスク含む)

 

まとめ:答えは現場に依る。ムラに強い/気密連続/維持しやすいの3軸で、ベタ or 布 or 併用を賢く選びましょう。次回は型枠の極意!

追補:布×ベタの“ライフサイクル”比較と意思決定ワークシート ⚖️
• LCC(初期+維持):初期材料/手間/仮設/天候リスク+床下点検/配管更新/断熱補修を年次で見える化。床下点検性は布優位、気密・防湿連続はベタ優位。

• 熱橋・結露:ベタはスラブ縁、布は基礎立上り—土台が要注意。連続断熱+気密テープで切らさない。

• 地盤ムラ:ベタは面剛性で吸収力、布は地中梁+フーチング強化で対抗。

• 判断フロー:N値ムラ?→Yes:ベタ/No→将来配管更新重視?→Yes:布/No→防湿・断熱連続重視?→Yes:ベタ/No→布。

• ワークシート(列):性能/工期/コスト/維持/天候感度/近隣/将来変更(5段階評価)。合計点で“現場最適”を選ぶ。

ケース:改修前提の平屋
• 将来の配管更新と床下収納が重要→布基礎+地中梁で剛性確保、床下点検性を武器に。

 

 

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奏心のよもやま話~第17回~

皆さんこんにちは!
奏心、更新担当の中西です!

 

コンクリートは圧縮に強く、引張に弱い——その“弱点”を補うのが鉄筋です。ゆえに配筋図は、耐力・耐久・施工性を同時に満たすための“構造の言語”。読み違えは、ひび割れ・たわみ・アンカー干渉・かぶり不足など、後戻りの大きい不具合に直結します。本稿では、図面記号の体系、読み解きの順序、曲げリスト→加工→搬入→組立→検査→写真までの一連フローを“現場で迷わない粒度”で整理します。📐

 

1. 記号・表記の体系(最初に辞書を揃える)
• 鉄筋径:D10/D13/D16…の“D”は異形棒鋼(deformed)。数字は公称直径(mm)。
• 本数・ピッチ:2-D13 @150 は D13を2本、ピッチ150mm。@は中心間隔。
• 主筋/配力/あばら:梁や立上りの主筋(曲げ)、スラブの配力(補助)、スターラップ(せん断)。
• 定着・継手:Ld(定着長さ)、ℓ_j(重ね長さ)、U/Lフック(180°/135°/90°)。
• かぶり:底・側・上で指示値が異なる。角部は最薄になりやすいため注意。
• 記号の優先順位:総合図→構造図→配筋詳細→納まり詳細→特記仕様の順に矛盾を解消。

 

2. 読み解きの順序(俯瞰→局所→交点)
1) 通り芯と基礎形式:ベタ/布/地中梁の配置と通り寸法。
2) 断面リスト:幅・せい・主筋本数・径・あばら@。隅角・開口・柱脚の特記を拾う。
3) 納まり詳細:アンカー・ホールダウン、スリーブ周り、段差・目地位置。
4) 定着・継手:継手集中禁止、千鳥配置のルールを確認。
5) かぶり確保手段:スペーサ種類とピッチ、馬ベース・ドーナツの割付。

 

3. 曲げリストと加工(“紙→鉄”の変換)
• 曲げ形状:L・U・クランク・フック寸法は機械最小Rを考慮。曲げ代の規定に沿って長さを算出。
• 切断・刻印:材質・径・長さ・本数をバー毎に明示。同一径でも形状で置場を分けると組立が速い。
• 代替提案:メカニカル継手や溶接閉鎖形スターラップは、狭隘部で有効(要設計承認)。

 

4. 現場組立の勘どころ(“ズレを生まない”)
• レイヤー順:ベタ底筋→配力→地中梁主筋→スターラップ…干渉の少ない順で組む。
• 結束:結束線の余長は内側へ(側かぶり不足の回避)。要所は二重締め。
• 支持:馬ベース+ドーナツで三次元的にかぶり確保。踏み抜き動線には追加スペーサ。
• 開口補強:スリーブ上下に補強筋。長さ・本数・径を図面で照合、写真で証跡。
• 隅角:コーナーバーで連続性。L筋の向きをペン矢印で可視化。

 

5. 施工誤差と許容(作る前に“着地点”を共有)
• 位置:主筋芯の偏差、スターラップ@の変動、最小かぶりの確保を優先。
• 継手:同一断面に集中しない、重ね範囲のずらし、母材交点からの離隔。
• 定着:L字・U字の曲げ内側が引張側になるよう向きを管理。

 

6. 検査と写真(“見れば分かる”品質)
• 配筋検査票:径・本数・@・定着・継手・かぶり・開口補強・アンカー干渉。
• 写真:全景→中景→近接(スケール当て)。色ペンで矢印・注記を入れると再現性UP。
• 不適合:是正前後の対写真と、是正内容の赤入れでトレース可能に。

 

7. ありがちNG→回避🙅‍♀️→✅
• 継手集中:同一断面で重ねだらけ→弱点化。→千鳥配置、重ね長の確保。
• かぶり不足:ドーナツ不足・結束余長の外出。→スペーサ増し・余長内向き処理。
• アンカー干渉:主筋と座金が衝突。→治具設計段階で逃げを図面化、現場で仮合わせ。

 

8. ケーススタディ:狭小立上り×配管スリーブ
• 立上り幅が細い中、スリーブが密集。主筋を1ランク細径×本数増でかぶり確保、スターラップをU字2分割に変更(設計合意)。打設前にスリーブ通線試験→OK。

 

9. チェックリスト ✅
☐ 最新リビジョン・特記仕様の確認
☐ 断面リスト(主筋・@・スターラップ)
☐ 開口・隅角・柱脚の補強筋
☐ かぶり確保手段(スペーサ種・ピッチ)
☐ 継手分散・定着向き・アンカー干渉

 

まとめ:配筋図は“文法”。意味を持って線を見る癖をつければ、トラブルの8割は机上で潰せます。次回は布基礎 vs ベタ基礎の設計・施工・維持の“本当の差”を明快に整理!⚖️

 

追補:加工・搬入・組立の“段取り最適化”と干渉リスクの先読み 🧠
• 先行RFIテンプレ:配筋図の疑問は部位/通り/断面/記号/想定解/影響/要判断日の7項でRFI化。返信待ちで止まらない。
• 曲げリストの標準:同一径でも形状コードで置場を分ける(例:D16-L-900/D16-U-1200)。曲げ代の差異で長さを食うため、加工場との係数表を共有。
• 搬入計画:地中梁→底盤→立上り→補強筋→雑鉄筋の順で先入れ後出し。重ね継手の集中禁止帯を搬入前に色スプレーで表示。
• 干渉先読み:スリーブ・アンカー・ホールダウンはTS座標で“点”管理。仮合わせの時間を工程に確保。
• スペーサーの“面管理”:底1.0〜1.2m格子、隅角・開口は0.6〜0.8m。ドーナツ外径×座金の干渉を模型で事前確認。
• 写真の勝ちパターン:通り・測点・方向(N/E/S/W)を黒板に。同構図で再撮できるよう器械点を写真にも記す。
• 教育:新人は“主筋どっちが引張側?”を必ず説明。意味を持って線を見る癖を育てる。

 

ケース:狭小立上り×高密度スリーブ
• 主筋を細径多本数化、スターラップをU字2分割でかぶり確保(設計合意)。治具でスリーブを立体固定し、通線→OK、止水リング写真で証跡化。📸

 

 

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