月別アーカイブ: 2025年11月

奏心のよもやま話~第16回~

皆さんこんにちは!
奏心、更新担当の中西です!

 

基礎の美しさは、墨に宿ります。通り芯がまっすぐ、直角がピタッ、レベルが揃う——これだけで以降の不具合の半分は消えます。ロング版では、BM→丁張り→座標→墨→検測→出来形までの連続プロセスを、アナログ×デジタルの合わせ技で解説。誤差の伝播を止める設計思考も紹介します。🧠

 

1. 基準づくり(BM・丁張り)
• BM:動かない構造物に一次BM、現場内に二次BMを3点以上。温度・荷重で微変動するため朝夕で再確認し、差分を記録。
• 丁張り:杭→貫→水貫の順で組み、通り芯・外周・高さを明示。視認性(色・高さ)と剛性(補強貫)を担保。

 

2. 座標管理(TS/BIM/レーザー)📡‍
• トータルステーション(TS):器械点・後視点を固定し、通り芯・アンカー・スリーブを座標で管理。閉合誤差は記録して残す。
• BIM連携:図面座標をCSV吐き出し→TSへ取り込み。紙メモ禁止で転記ミスを撲滅。
• レーザー墨出し器:立上り・内部で垂直/水平を高速可視化。屋外は受光器で。

 

3. 墨出し(描く・守る・活用)🖊️
• 描く:捨てコン上に通り芯・基礎外形・立上り中心・アンカーを色分け。直角は3-4-5や対角長でダブルチェック。
• 守る:作業で消える前提。保護スプレー・再墨ルール・写真台帳で可視化。
• 活用:型枠建込み時に“墨に合わせる文化”。合番チェック(二人読み合わせ)で思い込みを潰す。

 

4. 寸法誤差の“伝播”を止める🛑
• 原点誤差:丁張りの1cmは、立上り→アンカーで致命傷に。早期ほど厳しく、後ほど緩く。
• 道具誤差:メジャー端部の潰れ、曲尺の曲がり。ゼロ点の健全性を毎朝確認。
• 人の錯覚:左右逆・寸/ミリ換算ミス。声出し・指差し・合番で防止。

 

5. 直角・対角・レベルの“数値化”📐
• 直角:3-4-5(三平方)で辺長を実測。TSで角度も併記し、±2mm/5mなど社内基準を明文化。
• 対角:矩形は対角差±5mm以内を目標。差が出たら長辺側の修正を優先。
• レベル:レーザーでグリッド読取→最大差・平均差を記録。天端レベラー取り代を見込む。

 

6. アンカー・ホールダウンへの橋渡し🔗
• 治具固定:墨から治具へ座標で引き渡し。座金逃げまで墨で可視化。
• 三次元測定:打設・レベラー前に高さ・芯・垂直を再計測。

 

7. 写真・記録の質を上げる📷
• 電子黒板:通り・測点・高さ基準を写真に写し込む。
• 再現性:同じ構図で再撮できる撮影点(器械点)を台帳に。

 

8. NG→是正🙅‍♀️→✅
• 直角出てない:型枠が菱形に。→対角実測→撤去→建て直し、早期ほど費用が小。
• アンカー位置ズレ:治具固定不足。→吊りボルト追加・裏桟で剛性UP、再測定で合格ラインへ。
• 天端レベルばらつき:レベラーの取り代不足。→基準ピン再設定、周長で一貫させる。

 

9. ケース:複雑形状の基礎🧩
• 斜め壁・曲線基礎ではTS座標優先。通り番号×測点で写真をタグ付けし、後工程の合意形成をスムーズに。

 

10. チェックリスト ✅
☐ 一次BM・二次BMの設置と日次確認
☐ TS/BIMの座標連携と閉合誤差記録
☐ 墨の色分け(外形/中心/アンカー)と再墨ルール
☐ 対角差・直角・レベルの記録と社内基準
☐ アンカー治具への座標引き渡し

 

まとめ:墨は“現場の言語”。誰が見ても同じ意味になるよう、描き・守り・活用を標準化しましょう。次回は鉄筋へ——配筋図の読み方に進みます!🧩
追補:墨出し“誤差の伝播”を止める実務 ✍️

 

• ゼロ点管理:メジャーの金具潰れ、曲尺の曲がりは朝礼点検で排除。
• 直角出しは3-4-5とTS角度のダブルで。対角差±5mm以内ならOK、超えたら長辺修正。
• アンカー治具への橋渡しは座標CSVで紙メモ禁止。治具には対角寸法刻印で再現性UP。
• 写真:電子黒板で通り・測点・高さ基準を焼込み、再撮時に同構図にできるよう器械点も記録。📸

 

 

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奏心のよもやま話~第15回~

皆さんこんにちは!
奏心、更新担当の中西です!

 

基礎は地盤に直接座るのではなく、地業(ちぎょう)という“座布団”を介して座ります。ここが波打てば、以降の墨・配筋・型枠・打設が連鎖的にズレる。逆にここがビシッと決まれば、現場は静かに・速く・美しく回る。地味だけど最強のコスパ工程が地業です。ロング版では材料・施工・検査・写真・NG→是正を徹底的に分解します。🔍

 

1. 砕石(材料・受入・敷均し)
• 粒度:粒度分布が整った粒度調整砕石(例:C-40/RC不可)を採用。細粒分過多は締固め不良の温床。受入でふるい・目視、産地証明を添付。
• 含水比:乾き過ぎ→粉立ち・締まらない、濡れ過ぎ→押し出し。散水or日干しで“ちょうどいい”を作る。
• 敷均し:薄層多回数が鉄則。端部はオーバーラン気味に敷き、縁の痩せを防止。隅角はタンパー当てで浮きを殺す。

 

2. 転圧(機械・回数・確認)🚜
• 機械:平板・前後進・振動ローラーの使い分け。支持地盤が柔らかい時は“転圧で掘らない”よう重量と振動を抑える。
• 層厚と回数:1層10〜15cm目安、往復×n回。端部増しは“足し算”ではなく面で効かす意識。
• 確認:現場密度試験(砂置換/RI)や踏査で沈み・音を評価。平板載荷を併用すると地耐力の裏付けが取れる。

 

3. 防湿シート(地中蒸気の遮断)💧
• 目的:床下・基礎下からの地中蒸気を抑制し、結露・カビ・腐朽のリスクを断つ。
• 仕様:厚0.15〜0.2mm以上、重ね幅200mm以上、専用テープで気密。貫通部は補修パッチ+二重テープ。
• 運用:敷設後の動線規制。ピンホールはその日のうちに補修。撮影は俯瞰+重ね寸法見える角度で。

 

4. 捨てコンクリート(“基礎の基礎”)
• 役割:墨出しのための平滑面、かぶり確保、型枠の座りを提供。
• 施工:薄層打設→トンボ均し→コテ。レベルピンで面を作り、踏み抜き禁止を徹底。
• 打継ぎ面:後工程の立上りに向け、レイタンス除去と清掃で健全化。

 

5. 写真と台帳📸
• 撮る順:全景→中景→近接(スケール当て)。砕石厚、転圧機の設定・回数、シート重ね・補修前後、捨てコンレベルはキャプション付きで。
• クラウド:図面座標とリンクし、後から“測点で検索”できるようにタグ設計。

 

6. NG→是正🙅‍♂️→✅
• 砕石の過転圧:支持地盤まで押し込み逆に沈下。→層厚・回数・機械重量の再設定。必要なら改良or表層置換。
• シート破れ放置:床下に点状の湿気経路。→補修テープ即時、巡回担当を決める。
• 捨てコン波打ち:かぶり不足・型枠隙の原因。→レベルピンで事前に面を作る。

 

7. さらに一歩:地業に効く“ひと手間”🧩
• ジオテキスタイル:泥上がり防止に敷設すると粒調の効きが向上。
• 目地逃げ:大面積は伸縮目地で温度応力を逃がす。
• ラドン対策:地域によりガス抜き配管+高気密シートを検討。

 

8. ケース:雨上がりの地業🌧️
• 前夜の豪雨で含水比が高い。午前は日干し+表面掻き取り、午後に薄層敷均し→軽振動転圧へ切替。平板載荷で沈下曲線を確認のうえ次工程へ。

 

9. チェックリスト ✅
☐ 砕石の粒度・産地・搬入量の記録
☐ 層厚・転圧回数・機械種と設定
☐ 端部・隅角の当て打ちと浮き解消
☐ 防湿シートの重ね・補修と動線規制
☐ 捨てコンのレベル・打継ぎ面清掃

 

まとめ:地業は“後戻りをなくす防波堤”。面・密度・気密の3点を揃えれば、以降の工程がするっと進みます。次回は、その上に描く墨出しと寸法管理へ!✍️
追補:地業の“平面×密度×気密”を上げる秘訣 🔧
• 粒度分布はふるい結果で確認、細粒分過多は締固め不良の温床。受入時に産地証明とセットで保管。
• 端部の浮きはタンパー当てで殺す。角は二方向から当て、踏査で音と沈みを感じる。
• 防湿シートは貫通補修パッチ+二重テープ、重ね200mm以上。動線規制でピンホールを防ぐ。
• 捨てコンはレベルピンと等高線墨で面を作り、踏み抜き禁止を明示。📐
成功例
• 豪雨翌日:午前日干し→表面掻取、午後薄層敷き→軽振動、夕方平板載荷でOK判定。🌤️

 

 

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